解説!「ダイエットにはやっぱり炭水化物制限ですか?」|内科医と管理栄養士が健康診断で伝えたかった食事の話

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目次


    食と健康に関するさまざまな疑問について、内科医の廣田尚紀さんと管理栄養士の榛葉有希さんがお答えするシリーズ。ダイエットの近道といえば「炭水化物(糖質)」といわれる昨今、そのしくみと注意点について、やさしく解説します。

    Q: ダイエットにはやっぱり炭水化物制限ですか?

    「半分から半分強」
    ─これが、食事全体の中ですすめられる炭水化物の割合です。総摂取カロリーに対する炭水化物からのカロリー摂取量の割合です。

    ダイエットには炭水化物制限がよい、と耳にしたことがある人もいるでしょう。しかしほとんどの人には、炭水化物制限はおすすめできません。長期的には病気などになりやすく、死亡率も上がるためです。

    炭水化物の適量

    炭水化物を含めて、人間のおもなカロリーの摂取源になる栄養素は「三大栄養素」などと呼ばれます。炭水化物・脂質・たんぱく質の3つです。それぞれが1日あたりのカロリーに占める割合が健康にとって重要です。

    総摂取カロリーの中で、炭水化物は50~65%くらいとるのが最も健康的とされています。血管や代謝がかかわる病気になりにくく死亡率も低くなります。1日あたり2000kcalとる人なら1000kcal強。これは「日本人の食事摂取基準」でもすすめられている割合です。逆にこの範囲より炭水化物の割合が大きくなったり小さくなったりすると、病気になりやすくなり死亡率も上がります。

    現在の日本では多くの人がこのちょうどよい割合で炭水化物をとっています。炭水化物に悪いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、人間には絶対に欠かせない重要なカロリーの源です。炭水化物の中には「糖質」などが含まれ、米やパンに多く含まれる「デンプン」などが代表的です。

    炭水化物を多く含む白米・パン・麺などの食品は主食といいます。この主食とおかずを一日3食、普通程度にとっているなら、炭水化物のとりすぎはあまり心配いりません。一方、炭水化物が多い食事ばかりとっている人もいます。おかずを食べずに朝にパン、昼に麺、夜にチャーハンを食べる生活を送っているような人です。そのようなケースでは炭水化物の割合が多くなるので減らすべきです。

    「脂質」や「たんぱく質」なら食べても太らない、という人もいますがそれは間違いです。脂質は1gあたり約9kcal、たんぱく質は1gあたり約4kcalあります※1。両方とも食べれば食べるだけ、ちゃんと体重には影響します。体はなにからカロリーをとったかを区別しません。なにから摂取したとしても、カロリーに大きな違いはありません。炭水化物が特別に太りやすいということもありません。

    ※1 アトウォーター係数といいます。

    炭水化物制限のデメリット

    炭水化物制限で炭水化物の割合が減りすぎると、いくつか心配な点があります。

    1つはおかずが増えて、とりすぎると健康に悪く影響する栄養素が過剰になってしまうこと。主食が減るとカロリー源の中心はおかずになります。おかずにはとりすぎの心配な栄養素も含まれます。特に食塩や飽和脂肪酸という栄養素は、とりすぎると心臓や血管の病気になりやすくなります。三大栄養素のバランスもくずれ、炭水化物の適切な割合からはずれて健康に悪く影響します。

    もう1つは長続きしにくいこと。多くの研究で炭水化物制限は効果も継続性も短期的であることがわかっています。もともと主食は私たちの食卓に欠かせないものです。おかずばかり用意しようとしても費用がかさみ、準備が大変なうえに気持ちの面でも続けにくいのでしょう。

    じゃあ減量するために食事はどうしたらよいの?

    炭水化物を制限する減量ダイエットはすすめられない一方、私たちには「バランスよくカロリーを控える」という最高の選択肢がありますあえてデメリットの多い方法を選ぶ必要性はないでしょう(ただし、もともと炭水化物の割合と総摂取カロリー

    の両方が多い人は減らすとよいでしょう)。

    ぜひ炭水化物の割合には健康によい幅があることを覚えておいてください。

    そして「主食・おかずをバランスよく、総カロリーを少し控える」という基本に忠実で、健康的な選択をおすすめします。

    A: 炭水化物制限はすすめられません。長生きしにくく、病気になりやすく死亡率も上がるためです。

    【まとめ】

    ●もともとの炭水化物の割合が多すぎない限り、炭水化物制限はすすめられない

    ●炭水化物には健康によい割合の幅がある

    ●減量のためには主食・おかずをバランスよくカロリー制限する

    栄養相談の部屋から

     ごはんやパンのことを「主食」、メインとなる肉や魚のおかずを「主菜」、サブの野菜、きのこ、こんにゃく、海藻などのおかずを「副菜」と呼びます。具だくさんの汁物も副菜に入ります。
    この、主食1 品、主菜1 品、副菜2 品がそろった食事にすると、自然と三大栄養素のバランスがとれることが多いです。たとえばイラストの場合は、主食はごはん、主菜は豚肉のしょうが焼き、副菜①は主菜のつけ合わせのサラダときのこ、副菜②は具だくさんの汁物です。
    みなさんは幼いころに、このような食事をきっと食べています。そう、学校給食です! 学校給食のメニュー例などは市町村のウェブサイトに記載されていることも多く、料理を組み合わせるときの食事の参考になりますよ。
    (榛葉有希)

    【おまけコラム】 スマートフォンのアプリで食事の管理をしてもよいですか?

    最近はスマートフォンのアプリで食事を管理される方をよく見かけます。その中で、「アプリの表示を見ると摂取カロリーも少なくて体重が減るはずなのに、実際には体重がなかなか減らないんだよね」という相談をよく受けます。

    そのようなときには、アプリに入力し忘れているものがないかどうかや、アプリに入力していてもその量が間違っていないかなどを確認しています。たとえば、飲み会のときに食べたものや飲んだもの、職場のおやつでつまんだもの、出先で買ったドリンク類などは記入漏れが多いようです。さらに、アプリごとに測定精度に偏りやばらつきがある点にも注意が必要です。

    実際に栄養相談をしていると、アプリの利用には注意すべき点が多いと感じます。アプリの結果は鵜呑みにしないほうがよいでしょう。特に持病のある方は管理栄養士と相談しながら使ってほしいと思います。

    おまけコラム1日~数日の間に体重がキログラム単位で変化するワケ

    「昨日と今日で全然体重が違う」と思うことはありませんか? それ、当たり前のことなんです。1日の中や数日間で体重が変わる場合がありますが、これはおもに体内の水分量の変化だと考えられます。

    体内の水分量は常に変化しています。水は1 mL で1g。たとえば500 mL のペットボトルの水を飲み干せば、一時的かもしれませんが0.5kg増えることになります。

    食事に含まれる水分も体重に大きく影響します 。特に食事中の食塩は体内に水分を引きつける作用を持ちます 。私たちは日によって、食事の量が大きく違うことも珍しくありません

    こういった水分の出入りをふまえると、脂肪や筋肉量を考慮した体重の変化を知るためには、1日の中ではなく週・月くらいの中長期的な単位で評価するとよいでしょう。水分を減らせば見た目の体重は一時的には減るかもしれませんが、本質的なダイエットにはなりません。適切な量の水分をとるようにしましょう。

    廣田尚紀(ひろた なおき)
    広田内科クリニック副院長・産業医。本書のおもな本文・コラムを担当。
    内科医・医療法人社団 広田内科クリニック 新宿せたがや産業医事務所代表・(一社)日本職域栄養協会 理事など。東京慈恵会医科大学(勤務医)・東京女子医科大学(勤務医)、東京大学研究員(栄養疫学分野 研究員)などを経て現職。専門は糖尿病をはじめとする内科学全般および内科学における栄養分野。日々内科診療を行いながら、産業医としても働く人々の健康と向き合っている。博士(医学)・日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・日本内科学会認定 総合内科専門医・産業医(産業医学ディプロマ)など。

    榛葉有希(しんば ゆうき)
    管理栄養士・静岡県立大学助教。おもに本書の「栄養相談の部屋から」を担当。
    日本職域栄養協会理事、庵原薬局栄養指導担当。静岡県立大学食品栄養科学卒業後、研究と並行した、病院や特定保健指導での食事指導を経て現職。専門は臨床栄養学。研究と学生教育のかたわら、栄養指導の現場で健康管理や食事に関する疑問に日々向き合っている。博士(食品栄養科学)・病態栄養専門管理栄養士・健康運動指導士など。

    監修 佐々木敏(ささき さとし)|東京大学名誉教授・日本栄養大学客員教授。

    【6月20日発売予定の新刊情報】

    『内科医と管理栄養士が健康診断で伝えたかった食事の話』

    健康診断でよく指摘されるテーマについて、「専門家の当たり前」をわかりやすく解説する書籍です。

    ■廣田尚紀・榛葉有希/著
    ■978-4-7895-5468ー8
    ■四六判 296ページ
    ■定価:1,760円(本体1,600円+税)
    ■発行年月:2026年6月

    解説!「ダイエットにはやっぱり炭水化物制限ですか?」|内科医と管理栄養士が健康診断で伝えたかった食事の話
    https://www.eiyotoryori-plus.com/webmagazine/book-webmagazine/11641/
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