「滑舌が悪くなった」「むせやすくなった」――そんな変化、気になっていませんか。
実は、食べる・話すといった口の機能は、気づかないうちに少しずつ衰えていきます。
今回は、思い立ったらすぐできる、オーラルフレイルの予防と改善につながるおくちの筋トレを、清水愛子さん(医師)、菊川彩里さん(看護師)、児島満里奈さん(理学療法士)、高橋絵美さん(言語聴覚士)が紹介します。ぜひいっしょにやってみてください。
セルフチェック|「オーラルフレイル」ではないですか?
「口の機能が衰える」「嚥下障害」と聞くと、高齢者や寝たきりの人に起こること、と考える方も多いかもしれません。しかし、実は、嚥下障害の始まりである口の機能の低下は、なんと40代から始まると言われています。この口の機能が少しずつ衰え始めている状態のことを、「オーラルフレイル」と呼びます。
オーラルフレイルは早期に気づけば改善できる可能性が高いのが特徴です。対策をしないで放置すると、気づいた時にはドミノ倒しのように進行していきます。結果として、しっかりと食べられないことによる低栄養などから、全身状態の悪化につながる可能性もあります。
この段階になると、専門的な治療やリハビリが必要な状態になってしまいます。しかし、早期発見が難しく、気がついたら食べられなくなっていた、歩けなくなっていた、ということもしばしば。オーラルフレイルは、自分の状態にいちはやく気づき、予防することが大事です。
セルフチェック表で自分の状態を確認してみましょう。はやく対策を打つことで元の健常な状態に戻る可能性があります。

予防プログラム1:口ひげぺろり
黒ひげに見立てた味海苔を鼻の下に貼り
ベロでペロッとはがしてみよう!
何秒でできるかな⁉︎


5人1組になって、チーム対抗で
黒ひげペロリリレーをやってみよう!

【ポイント】
ベロをなめらかに動かすトレーニング方法です。常にしっかり動かしている人は、分厚くてやわらかいベロになります。逆に、使っていないと衰えて薄くなり、動きが悪くなってしまいます。

予防プログラム2:タコちゅ〜ダンベル
くちビル版の重量挙げ競技に挑戦!
何秒キ〜プできるか試してみよう!




【ポイント】
ぽかーんと口が開いていると、しっかりつばを飲み込むことはできません。食べ物を飲み込むためには、いったん息をこらえる必要があるので、口をしっかり閉じられることがとても大事です。

予防プログラム3:はずしマスク
口の開閉だけでマスクの位置を下げてみよう



【ポイント】
手を使わずマスクの位置を下げてみましょう。口を大きくゆっくり動かすのがポイント! 大きく口を開けるトレーニングをすることで、飲み込むための筋力がアップします。

口からご飯を食べる「摂食嚥下」のしくみ
摂食嚥下機能は、食べ物や飲み物を口に入れてから胃に届くまでの5つのステップで説明ができます。
ステップ1 認知期(気づく・食べたいと思う)
食べ物を見たり、匂いを感じたりして、「食べ物がある」「食べたい!」と気づく段階です。
ステップ2 準備期(口の中での準備)
口に入れた食べ物を噛んで飲み込みやすい形にします。歯でしっかり噛み、唾液(つば)と混ぜて、食べ物をやわらかくしたり丸めたりします。
ステップ3 口腔(こうくう)期(飲み込む準備)
食べ物が飲み込みやすい形になったら、ベロを使って食べ物をのどの方に送ります。ベロがまるでエスカレーターのように働いて、食べ物を奥に運ぶ動きです。
ステップ4 咽頭(いんとう)期(のどの通過)
食べ物がのどを通り、食道に向かう段階です。この時、食べ物が気管(息をする通り道)に入らないようにし、のどの中で「フタ」の役割をする部分が自動で閉じます。
ステップ5 食道期(胃への移動)
最後に、食べ物が食道という管を通って胃に運ばれます。この動きは自動で行われ、特に意識する必要はありません。
このように「食べる」「飲み込む」という動作は、口や舌、のどなどが連携して働くことで成り立っています。どこか一つでもうまく働かなくなると、食べにくさやむせなどの原因になることがあります。いくつになっても笑顔で口から食べ続けるために、楽しみながらおくちの筋トレを続けていきましょう♪
教えてくれたのはこの方々
※本記事は、『笑えるおくちの筋トレ』(日本栄養大学出版部)の一部を再編集したものです。
ほかにも、効果的なプログラムを多数ご紹介しています。

■清水愛子、グッドネイバーズカンパニー/著
五島朋幸、戸原玄、若林秀隆/アドバイザー
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■定価:1,540円(本体1,400円+税)
■発行年月:2025年2月

