別々にがんばらなくてもOK! 高血糖も高血圧も「まとめてケアする食事術」とは? 

健康 Book

目次


    解説:じつは共通点が多い血糖・血圧コントロール 

    「血糖値も血圧も年々上がってきて……」「どちらも気にはなっているけれど、なにから始めればいいかわからない」。そんな人も多いのではないでしょうか。

    糖尿病と高血圧は、どちらも「血管にダメージを与える」生活習慣病で、この2つが重なると動脈硬化が進行しやすくなり、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まります。 

    でも、糖尿病と診断されても早期に対策を講じれば、高血糖が改善し、薬を使わなくても血糖値が正常範囲を維持できる「寛解」の状態になることがあります。

    食事療法や運動療法で徹底的に減量にとり組むことで、内臓脂肪が減少して血糖値が正常値に下がり、膵臓の働きが改善して必要量のインスリンが分泌できるようになる可能性があるのです。

    こうした状態を長く維持することができれば、その先にある合併症の発症を食い止めることができます。 

    高血圧も同様で、減塩や適正体重の維持、運動習慣の改善などによって血圧が下がり、薬の量を減らしたり、場合によっては薬が不要になったりすることがあります。

    診断を受けたからといって、悲観する必要はありません。 

    糖尿病と高血圧は別々の病気ですが、予防や改善のためにとり組むことは共通しています。その大きな柱の一つが「食事を見直すこと」。おさえたいのは、「食物繊維」「減塩」「カリウム」の3つです。

    食後の血糖値上昇を防ぐ「食物繊維」

    食物繊維をとると糖質の消化・吸収がゆるやかになるため、食後の血糖値の上昇がおだやかになります。また、食物繊維は肥満の予防・改善にも役立つため、血圧の管理にも有効です。

    1日にとりたい食物繊維は25g以上(※1)とされていますが、実際の摂取量は18g(※2)くらい。

    たんぱく質、脂質、糖質のバランスを整えたうえで、食物繊維をしっかりとることがたいせつです。

    ※1 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(厚生労働省)では、食物繊維の1日の目標量を18~64歳の男性は20~22g以上、女性は18g以上としている。しかし、生活習慣病予防の観点からは、1日25g以上とることが望ましいと考えられている。 
    ※2 「国民健康・栄養調査(令和6年)」(厚生労働省)の日本人の食物繊維摂取量は20歳以上で1日平均18.1g。 

    こんなことを意識すると、食物繊維がたっぷりの献立になります。

    • 白米には、麦や雑穀、豆を混ぜて炊く 
    • 大豆など、豆を使う 
    • 芋を使う 
    • 海藻、きのこを使う 
    • 乾物を使う 
    • 根菜や緑黄色野菜を使う 
    • 1日1回、実だくさんみそ汁を食べる 

    たとえば…

    豚肉のしょうが焼きの献立の場合 

    2品以下でも、食物繊維がしっかり10g以上とれる献立です。手間をかけずに、毎日の食物繊維不足を解消できます。

    ・豚肉とかぼちゃのしょうが焼き
    食物繊維の多いかぼちゃを先に焼いて、しょうが焼きにした豚肉といため合わせます。

    ・小松菜と打ち豆の実だくさんみそ汁 
    青菜、豆、海藻、きのこにじゃこを入れた、だしいらずのみそ汁です。 

    ・押し麦入りごはん 
    精白米3に対し押し麦1の割合で炊きます。 

    忙しい朝におすすめの作りおき4種 

    ごはんやパンにのせたり、混ぜたりするだけで「超簡単朝ごはん」になるストック。 アレンジすれば、さらにバランスのよい「朝食献立」になります。

    ・大豆そぼろ 
    シンプルな塩味にしておくことで、和にも洋にもアレンジ自在! 

    ・レンジ塩きのこ 
    きのこは生のまま冷凍してもいいですが、加熱するとかさが減って省スペース! 

    ・おからひじき煮
    ひじきとおからをごま油でいため、和風の味つけでいり煮に! 

    ・冷凍根菜ミックス
    きんぴら、豚汁、シチュー、いため物などに、凍ったまま使えます! 

    血管や腎臓の負担を減らす「減塩」 

    塩分をとりすぎると血液中の水分量が増え、血管にかかる圧力(血圧)が高くなります。

    血圧が高い状態が続くと血管は傷つき、しなやかさを失って、さらに血圧が上がりやすくなります。

    また、余分な塩分は腎臓が尿として排出しますが、とりすぎの状態が続くと腎臓に負担がかかります。そのため、減塩は高血圧予防・改善の基本となるのです。 

    香り、とろみ、うま味、風味や食感を活用しましょう。 

    ⚫︎香りを生かす 

    にんにくととうがらしを弱火でいためて油に香りを移せば、少ない塩分でも満足感のある味わいに。また、クレソン、せり、三つ葉、ルッコラ、しょうがなどを刻んですし飯に混ぜれば、塩分が高くなりがちなちらしずしも風味豊かに減塩できます。 

    ⚫︎とろみをつける 

    とろみでコクが増し、味わいが長続きします。塩分が高くなりがちなめん類も、汁を少なめにして水どきかたくり粉でとろみをつけると、少ない調味料でも満足感が得られます。 

    ⚫︎うま味をきかせる 

    トマトの水煮缶は塩分ゼロでうま味成分のグルタミン酸が豊富。魚にも肉にも野菜にもよく合います。また、きのこや肉にはうま味成分が豊富に含まれています。異なるうま味成分が重なるとうま味の相乗効果が生まれ、塩分を控えても満足感のある味わいになります。  

    ⚫︎辛味・酸味・風味・食感を加える 

    練りがらしや練りわさびの辛味、バルサミコ酢の酸味、青のりの風味、ナッツ類の食感は、味わいに変化を与え、減塩をサポートします。ピリ辛料理には、塩分の高い豆板醤(とうばんじゃん)の代わりに、赤とうがらし、粉ざんしょう、辣油で辛味をきかせると減塩に。 

    たとえば… 

    チキンドリアの献立の場合 

    1品で満足できる主食兼主菜に、塩分をほとんど含まない野菜の小さなおかずをプラス。 減塩初心者でも無理なくとり組めます。 

    ・春菊ライスのチキンドリア 
    鶏肉、きのこ、ねぎ、牛乳でうま味アップ。ごはんには細かく刻んだ春菊を混ぜて香り豊かに。 

    ・レンジキャベツのごま辣油あえ 
    味つけは辣油、いり白ごま、酢だけで、塩分ゼロ。

    野菜の魅力を生かして減塩に 

    みずみずしさ、歯ごたえ、甘味、ほろ苦さ、清涼感。 
    野菜ならではの魅力を生かせば、塩分に頼らなくてもおいしく食べられます。 

    ・セロリの梅酢いため 
    清涼感と歯ごたえは、生でも、いためても! 

    ・焼き玉ねぎのバルサミコソースかけ
    玉ねぎは、甘味、辛味、歯ざわりも楽しめます! 

    ・にんじんのグラッセ 
    豊かな甘味で彩りのよさも魅力! 

    ・じゃが芋の煮っころがし
    食物繊維が豊富で皮つきもおすすめです! 

    塩分の排出を助ける「カリウム」 

    高血圧対策には、ナトリウム(食塩は塩化ナトリウム)の摂取量を減らすだけでなく、体の外へ排出することもたいせつです。カリウムを充分にとると、余分なナトリウムの排出が促されるため、血圧の上昇を防ぐ働きが期待できます。また、カリウムを多く含む食品は食物繊維も豊富に含んでいることが多いため、一石二鳥です。 

    カリウムは水にとけやすいため、生で食べたり、煮汁ごと食べるのが効率的です。 

    ワザ1 「生で食べる」 

    野菜や魚は加熱せずに生のまま食べるのがいちばん効率的! 

    マグロの漬け盛り 
    【カリウムたっぷり素材】
    マグロ 青じそ 三つ葉 
    チキンソテー アジアンサラダのせ 
    【カリウムたっぷり素材】
    鶏胸肉 水菜 セロリ 

    ワザ2 「煮汁ごと食べる」 

    煮汁にとけ出したカリウムを残さずとることができます。 

    カジキと野菜のスパイストマト煮 
    【カリウムたっぷり素材】
    メカジキ 蒸し大豆 トマト缶 ブロッコリー 
    豚肉ときのこのおろし煮 
    【カリウムたっぷり素材】
    豚もも肉 大根 しめじ類 エリンギ 刻みこんぶ

    ワザ3 「汁物でとる」 

    時短なのに栄養充実の実だくさんみそ汁とスープは朝食におすすめ! 

    さつま揚げと根菜のみそ汁
     かぼちゃとハムの豆乳スープ 

    ワザ4 「飲み物でとる」 

    ホットスムージーやドリンクは、食事としても楽しめます。 

    ホットしょうがみかん |かぼちゃと豆乳のホットスムージー |さつま芋ときな粉のホットスムージー

    「今よりちょっとだけいいことをする」意識を! 

    1日3食のうち、まずは夕食だけ意識してみましょう。

    夕食は1日3食の中で最も血糖値に影響を与える食事です。インスリンは朝から昼にかけてよく働きますが、夜遅くなるほど働きが低下するためです。

    遅い時間の夕食は肥満につながりやすく、睡眠の質も下げてしまいます。さらに、夜遅くにたくさん食べると、血糖値が急激に上がるだけでなく、内臓脂肪もたまりやすくなります。 

    血糖値が気になる人にとっては、食後に体を動かすことも効果的です。インスリンの働きが充分でなくても、体を動かすことでブドウ糖が筋肉にとり込まれ、血糖値の上昇をおさえることができます。

    ウォーキングはもちろん、お風呂に入ることや食後の片づけで家の中を歩くだけでもかまいません。まずは、「食べたら少し動く」を習慣にしてみましょう。 

    食事や運動、睡眠などの生活習慣を変えることは、とてもむずかしいものです。そこでおすすめなのは、完璧を目指すのではなく「今よりちょっとだけいいことをする」という考え方です。

    まずは、自分の体の状態を知ることが第一歩。体重計や血圧計、スマートウォッチなどをじょうずに活用してみてください。数値の変化によって、努力の成果も見えるため、継続の励みにもなります。 

    小さな習慣の積み重ねが、やがて大きな変化につながります。無理なく続けられることを見つけるのが成功のコツです。 


    解説/坂本昌也(国際医療福祉大学三田病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授) 
    料理/今泉久美 岩﨑啓子 牧野直子 松尾みゆき 
    イラスト/あべさん 
    撮影/岡本真直 櫻井めぐみ 宗田育子 南雲保夫 
    スタイリング/河野亜紀 深川あさり 村松茉記 
    編集/高木真佐子 

    ・本記事は書籍『高血糖と高血圧の献立&おかず』をもとに、ウェブ掲載用に再編集しています。くわしいレシピは書籍でぜひ! 

    同時にケアするシリーズ 
    高血糖と高血圧の献立&おかず 

    ■栄養と料理/編 
    ■978-4-7895-4630-0 
    ■B5判変型 190mm×257mm 96ページ 
    ■定価:1,540円(本体1,400円+税) 
    同時にケアするシリーズ  
    腎臓と高血圧の献立&おかず 

    ■栄養と料理/編 
    ■978-4-7895-4629-4 
    ■B5判変型 190mm×257mm 96ページ 
    ■定価:1,540円(本体1,400円+税) 
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