ガーナ「世界の朝ごはんめぐり」Webマガ版2025年8月号

パイアスさんの自宅での朝食風景。

彼の朝食は、ガーナで最も人気のある料理の1つ、「ワチェ(Waakye)」です。

ワチェは、米と豆(黒目豆)をベースに、ソルガムの葉で炊くことで赤みを帯びたごはんに仕上げます。トッピングには、ゆで卵、シト(辛い黒いソース)、キャッサバを粗挽きしたガリ、スパゲッティ、魚、肉などが添えられることもあり、一皿で栄養満点。

この料理は、北部ガーナのモレ=ダグボン族が起源とされ、ワチェという名前は、ハウサ語の「shinkafa da wake(米と豆)」が由来とされています。

また、南部ガーナに定住したハウサ族の女性、通称「ハッジャ(Hajia)」によって販売されることが多く、「おいしいワチェはハッジャから」ともいわれます。ちなみに「ハッジャ」は、サウジアラビアのメッカへの巡礼(ハッジ)を終えた女性に与えられる称号です(男性はハッジー)。

「パイアスさんにとってワチェとはなにか?」という質問に、彼はこう即答しました。

「自分の体も心も満足させてくれるもの。友人といっしょに気軽に食べられるし、裕福な人も貧しい人も、すべての層が“ガーナらしさ”を感じる料理なんです。たんぱく質と炭水化物が豊富で、一皿でいろんな味が楽しめる。それ自体が多様性の象徴です」

いつも笑顔で話し続ける話好きなパイアスさんからは、自国の食と文化に対する誇りのようなものを感じました。外の屋台でもよく売られているワチェは、持ち運びやゴミ捨てにも便利な葉で包まれ、多くのガーナ人に愛される代表的なメニューです。