2025.5.5 マシンガンズ『食品ロストークライブ』report

『栄養と料理』の連載「滝沢さんちの0円弁当」(2022年)、「キッチンまわりのゴミは今…」(2023年)でおなじみの滝沢秀一さん(マシンガンズ)。そのマシンガンズをはじめ、太田プロに縁のあるお笑い芸人8名が料理プレゼンに挑んだ『食品ロストークライブ』が5月5日(月・祝)、代々木WOOFERで開催されました。

この日、お題として選ばれたのは「酒粕」「おから」「しいたけの軸」の3つ。

酒粕は日本酒製造時の、おからは豆腐製造時のそれぞれ副産物です。粕汁や粕漬け、おからの煮物は「お袋の味」ともいうべき家庭料理でもありますが、家庭での消費量は減少傾向で、製造業者が活用しきれない分は廃棄物として処理している現状。また「しいたけの軸」は一般に除いて使うレシピが少なくなく、業務用の加工品においても廃棄対象になる部分だそうです。

さて、今回登場した8名の料理は以下のとおり(料理名はライブ内でのコメントより。詳しくは各SNSなどをご確認ください)…

村田千鶴さん(このみ)「まるごと椎茸ハンバーグ」。刻んだ椎茸の軸とガラムマサラを混ぜ込んだハンバーグの上に醤油味の軸を挿した見た目は、まさに「椎茸」。クリームソースにはみそとチーズ入り。今後やってみたい企画として、冷凍庫にベーコン、玉ねぎ、しめじを入れておけば6種類のパスタがフライパン1つで作れる「ずぼらのワンパンパスタ」を提案。

おぎたともこさん(このみ)「お好み焼きときのこクリームコロッケ」。椎茸のだしで作ったホワイトソースを一から手作り。中身が出ないようにと衣は「ゴツめ」に仕上げたそう。おからと椎茸の軸を加えたお好み焼きはベジタリアンでも楽しめる材料で、にんじんの皮、キャベツの外葉を活用。今後やってみたい企画としては「食品ロス素材を使って世界の料理を作りたい」とベトナムの「バインミー」を例にあげた。

鈴木奈都さん「アジフライ」「かぼちゃとアスパラ バーニャカウダ風」「ミートグラタン」。椎茸の軸の粉をパン粉とバッター液に混ぜて衣にしたアジフライはマシンガンズも絶賛。イタリア風のたれ「バーニャカウダ」は酒粕と酢を加えてマイルドに仕上げ、西堀さん曰く「わさび漬けみたい!」。ミートグラタンには椎茸の軸の刻み方を変えた2種の軸で食感を豊かに演出。三軒茶屋で居酒屋「なっちゃん」を営むプロとして日々YouTubeでも料理発信を行なっており、レシピを発信していきたいとのこと。

橋爪ヨウコさん(こじらせハスキー)「おからのチキンナゲット風」「椎茸の軸、酒粕、えのきの切り株スパゲッティ」。原価の安い材料を駆使して2品を提案。中でもクリームパスタは酒粕の風味がきいていて、西堀さんが「おいしい!」と太鼓判。貧乏料理は得意だという橋爪さん。海外でのバイク旅も重ねているそうで、標高5000mを超える地域でのゴミ拾いを経験してきたという話から旅先でゴミ捨て事情も調べているという話、そして各国を巡りレポートする「ゴミ捨てジャーニー」なる企画の提案も。

本日は晴天なりさん:「ビジチゲ(おからと椎茸の軸のスープ)」「おからのチヂミ」。夫が韓国人で、もともと韓国にあるレシピを義母から習って作ったとのこと。試食の感想よりも最近の活動の話題でもっぱら盛り上がる。キャバクラでの見聞録を連載するコラムも4年目に突入したとのこと。新たに「日韓ハーフの子育てエッセー」の連載ができたらと意気込んだ。

柴田賢祐さん(六六三六)「おからクッキー」「椎茸の軸のおひたし」。日頃、マクロビを実践する妻の食事を作っているとのこと。おからクッキーは「味のないおかきみたい」「レンガみたい」などと評されつつも、自身が酒粕から作った甘酒を甘味に使用、またおひたしに使っためんつゆも自家製というこだわりぶり。スーパーオーガニック健康料理を得意とするが、お片付けブラザーズとして空き家の片付けを請け負う中、賞味期限が切れていない食料があったりするとのことで、それらを活用した「空き家めし」の企画も話題に。

高田千尋さん「おからクッキー」「中華スープ」。柴田さんと同様におからを使ったクッキーだったが、ココナッツマイスターの資格を生かし、ココナッツシュガーを配合&アーモンドプードルを加えたレシピは「これこれこれ!」と、マシンガンズにも大好評。これからやってみたい企画は「美容 with フードロス」とし、グラビア経験を生かした健康的なダイエット企画が提案された。

まりんかさん「茶わん蒸し」「おからのスープ」。「丁寧な暮らし」を目指し、試食するマシンガンズに「丁寧ですか?」と味を問う。おから、麹、塩で作ったスープは「面白い味」との評。「塩はひとつまみだけ」と減塩も意識したそう。茶わん蒸しで話題になったのはその容器。日常使いの可愛いマグカップが注目を集めた。また、タブレットを使ってプレゼンされた「原っぱ探検‼️物価高を野草で乗り越えよう」では野草料理やお茶作りを披露し、複数の審査員から関心が寄せられた。

ライブの終盤、マシンガンズの滝沢さんが、これからの食品ロス対策の1つとして「フードロスガストロノミー」を提案。現在、廃棄されている食品を活用しながらいかに食を楽しみ、文化として残していくことができるか。今回、芸人の皆さんから提案された料理や企画、それに対するマシンガンズの二人や審査員のコメント、さらに会場参加者や動画視聴者の反応や行動が連動していくことで、新たなムーブメントが生まれることでしょう。

審査員を務めたのは市瀬慎太郎さん(イーソリューション(株)代表)、川上雅乃さん(『サンキュ!』 副編集長)、佐藤麻衣さん(テレビ局)、蛭田美穂さん(東洋製罐グループホールディングス(株))(50音順)と浜岡(『栄養と料理』編集長)の計5名。お題になった使い慣れない食材の利用法のアイデアもさることながら、思いのほか手の込んだ料理に親しんでいる芸人の皆さんの調理力の高さに感心したひとときでした。(浜岡)